with age 92歳の母のぼちぼち介護日記

母の介護を通して、素敵な歳の重ね方を学びます。

大人のぬり絵

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昔孫達が使っていた色鉛筆です。

 

最近の母はよく大人のぬり絵をしています。

 

 

 書店には、認知症予防として沢山の大人のぬり絵が並んでいます。

 

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”かわいい”の原点。内藤ルネさんのぬりえもあります。

 

傾聴ボランティアに伺う有料老人ホームや、老健(介護老人健康施設)では、

ぬり絵を楽しまれていらっしゃる方を時々お見かけします。

ですが、認知症の方のグループホーム🏠では、あまり見かけられません。

 

認知症がすすむと、枠からはみ出さないように色を塗るという動作は

難しくなるようで、(私達は普段それを当たり前のようにしていますが)

脳にとってそれは、とても高度で複雑な伝達作業のようです。

 

 

大半の女性の方は、四季の花々のぬり絵がお好きですが、

母はそれは 🙁「花のは単調で面白くないわ」と言います。

 

まんだらぬり絵の方が面白いと言います。

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🙄「色が重ならないように、尚且つ美しく!」を心がけているそうです。

 

確かに母は散歩をしていても、あまり花に興味を示しません。昔からそうでした(・_・)

 ですのでそんな母に育てられた私は、私が花の名前をあまり知らないのは、

母譲りだとずっと思ってきました。

 

母は幼い頃から、勉強が好きで成績も優秀て、数学教師を目指していた女性です。

 "(-""-)"「なるほどね」と、私はちょっと納得しています。

施設でも、マンダラぬり絵はどちらかと言えば、男性の利用者さんが好みます。

母の脳は、花をめでる事よりも、思考をめぐらす方が好きな脳なのだと思います。

 

 

 

母の家には、こんな塗り絵もあります。

 

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スペイン、マドリッドの『ソフィア王妃芸術センター』で買いました。

 

2017年に主人と行ったスペイン旅行の、母へのお土産のぬり絵です。

(T_T)母にはまだ1枚も塗ってもらえていませんが、

このぬり絵は、別のところでとても役に立ちました。

 

2017年当時私は週に1回、近所のサービス付き高齢者向け住宅の掃除や、

その施設の一角でカフェを運営していた、

就労支援サービスグループのボランティアをしていました。

 

私は、そこに住まわれている高齢の入居者さんと、

支援グループの若者を繋ぐような役割をしていました。

 

そこでは、お茶を飲みながら、ぬり絵や折り紙遊びなどをよくしました。

 

私がそのボランティアを始めて少し経った頃、

Hさんと言う🙍‍♂️一人の青年がグループに入って来ました。

しばらく、彼は無表情でほとんど私語を発することもなく、

なかなか彼と入居者さん達が話す機会はありませんでした。

 

ところが、私が👆このスペインのぬり絵を持った行った日、

Hさんは、そこがスペイン、マドリッドの街並だとすぐわかり、

描かれている『ゲルニカ』がどのようにピカソによって描かれたかの史実や、

他のページの、スペインの建造物の話などをして、皆を驚かせました。

 

彼は世界史が得意だったようで、そこから海外によく行かれていた入居者男性と

よく話をするようになりました。

 

又、とても複雑でなかなか折れないバラの折り紙を、

Hさんはとても上手に折り、そのバラ欲しさに集まる女性入居者さん達から

👩‍🦳🧓👳‍♀️「折り紙の先生」と呼ばれ、引っ張りだこの人気者になりました。

その頃から、彼の顔にも笑顔が見られるようになりました。

 

 

 彼は1年ほど、この支援グループで活動した後、

私立の男子校の社会の非常勤講師になり、グループから巣立って行きました。

 

何故あんなに優秀なHさんが、それまで社会になじめず苦しんでいたのか、

詳しいことは分かりませんが、あの就労支援プログラムで

入居者さん達と触れ合う事で、人に尊敬され喜ばれることで、

生きていく活力を取り戻したんだと思います。

 

 

今日は、母の日課ぬり絵から、Hさんの事を思い出しました。

あれから4年が過ぎました。彼が人の心の痛みの分かる

素敵な教師になってくれていると良いなぁと思った1日でした。