with age 92歳の母のぼちぼち介護日記

母の介護を通して、素敵な歳の重ね方を学びます。

2020秋晴れの空の下

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秋空

秋晴れの空の下、急に思い立って、
今日のランチはピクニックにしようと、
コンビニでおにぎりと、卵焼き、から揚げ、ゴボウサラダを買って、
母がいつもお散歩しているコースを二人で歩きました。



母のお散歩コースは、A川までの片道400mの往復コースです。
私の足なら片道5~6分の道のりです。

母は片道、2度ほど休憩しながら歩き、
折り返して、又休憩しながら家に帰ります。

今日は私が一緒なので、折り返し地点にある公園で
ランチにすることにしました。

家を出て5分ほどのベンチに母は腰かけました。
ここは母のお気に入りの場所です。


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"花に囲まれた素敵なベンチです"


5分ほど休憩し、又歩き出しました。
         

20分ほどかかって着いたその公園は、
三方道路に囲まれていますが、緑がいっぱいあって
ベンチも3つあり、ピクニックにはもってこいの場所です。

ただ、公園の入り口全てが階段になっていて、
一番段数の少ない西側の3段さえ、手すりが付いていないので、
私がいないと、母一人では入れません。

ここに至るまでの道のりも、新しい道路なので、
段差をなくしているはずなのに、それでもあるほんの少しの段差に
シルバーカーの車輪がとまり、母はとても歩きにくそうです。

母に言わせると、足も痛いが、押している腕もだるくなるそうです。

母と供に歩かなければ、私も気づかない事だらけですが、
素敵な公園も新しい道路も、作った方達はプロなのに、
何故そんな事に気が付かなかったのでしょうね。



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公園でお昼を食べ、昨日私が書いた【千の風になって】を、
母に見せると、You tube の歌に合わせて歌いだしました。
横を通る車の音に丁度良いくらいに母の声は消され、
母は1曲気持ちよさそうに歌い切りました。

その後、山崎育三郎さんの動画を鑑賞しながら
30分ほど公園で過ごしました。


帰り道、母に
「そろそろ車椅子も借りようか?」

「まだ大丈夫よ!」

「スーパーに行くぐらいなら、今の手押し車で良いけど、
 こうやって私とお散歩するときは車椅子があった方が、
 遠くまでお散歩できるよ」
「お母さんが元気なら、お母さんが車椅子押して歩けば良いし、
 しんどくなったら座ったら良いでしょ」

「そうねぇ・・・」

その後、母からの返事はありませんでした。

聞くと、歩くのが精いっぱいで考えられなかったようです(;'∀')


駅の近くまで歩いて、お菓子屋さんへ入り、
2人でコーヒーを飲みました。

「今年初めまでは杖でも歩けたのにねぇ」
母が寂しそうに言いました。

確かにそうです。
コロナが流行らなければ、もう少し母の老いの速さは
緩やかであったと思います。

自粛期間、外に出れなかった事、
好きなお稽古に行けなくて、お友達にも会えなかった事、
全てが母の老いの加速させました。

多分、母と同年代の高齢者の方達は皆同じだと思います。


結局、2時間近くのピクニックになりました。
エレベータの中で母に言いました。

「お母さん、少しハードだったねぇ。
 横になってやすんでね」

「そうね。でも歩かないとますます足が動かなくなるからね。
 歩かなくっちゃね」

やはり、我が母は敬愛すべき女性です。


私は、
『将来この日は忘れられない日になっているだろうなぁ』と思いました。