秋晴れの空の下、急に思い立って、
今日のランチはピクニックにしようと、
コンビニでおにぎりと、卵焼き、から揚げ、ゴボウサラダを買って、
母がいつもお散歩しているコースを二人で歩きました。
母のお散歩コースは、A川までの片道400mの往復コースです。
私の足なら片道5~6分の道のりです。
母は片道、2度ほど休憩しながら歩き、
折り返して、又休憩しながら家に帰ります。
今日は私が一緒なので、折り返し地点にある公園で
ランチにすることにしました。
家を出て5分ほどのベンチに母は腰かけました。
ここは母のお気に入りの場所です。
5分ほど休憩し、又歩き出しました。
20分ほどかかって着いたその公園は、
三方道路に囲まれていますが、緑がいっぱいあって
ベンチも3つあり、ピクニックにはもってこいの場所です。
ただ、公園の入り口全てが階段になっていて、
一番段数の少ない西側の3段さえ、手すりが付いていないので、
私がいないと、母一人では入れません。
ここに至るまでの道のりも、新しい道路なので、
段差をなくしているはずなのに、それでもあるほんの少しの段差に
シルバーカーの車輪がとまり、母はとても歩きにくそうです。
母に言わせると、足も痛いが、押している腕もだるくなるそうです。
母と供に歩かなければ、私も気づかない事だらけですが、
素敵な公園も新しい道路も、作った方達はプロなのに、
何故そんな事に気が付かなかったのでしょうね。
公園でお昼を食べ、昨日私が書いた【千の風になって】を、
母に見せると、You tube の歌に合わせて歌いだしました。
横を通る車の音に丁度良いくらいに母の声は消され、
母は1曲気持ちよさそうに歌い切りました。
その後、山崎育三郎さんの動画を鑑賞しながら
30分ほど公園で過ごしました。
帰り道、母に
「そろそろ車椅子も借りようか?」
「まだ大丈夫よ!」
「スーパーに行くぐらいなら、今の手押し車で良いけど、
こうやって私とお散歩するときは車椅子があった方が、
遠くまでお散歩できるよ」
「お母さんが元気なら、お母さんが車椅子押して歩けば良いし、
しんどくなったら座ったら良いでしょ」
「そうねぇ・・・」
その後、母からの返事はありませんでした。
聞くと、歩くのが精いっぱいで考えられなかったようです(;'∀')
駅の近くまで歩いて、お菓子屋さんへ入り、
2人でコーヒーを飲みました。
「今年初めまでは杖でも歩けたのにねぇ」
母が寂しそうに言いました。
確かにそうです。
コロナが流行らなければ、もう少し母の老いの速さは
緩やかであったと思います。
自粛期間、外に出れなかった事、
好きなお稽古に行けなくて、お友達にも会えなかった事、
全てが母の老いの加速させました。
多分、母と同年代の高齢者の方達は皆同じだと思います。
結局、2時間近くのピクニックになりました。
エレベータの中で母に言いました。
「お母さん、少しハードだったねぇ。
横になってやすんでね」
「そうね。でも歩かないとますます足が動かなくなるからね。
歩かなくっちゃね」
やはり、我が母は敬愛すべき女性です。
私は、
『将来この日は忘れられない日になっているだろうなぁ』と思いました。