今日は母と、補聴器の調整に行ってきました。
母は以前から補聴器を持っていたのですが、
使っているのを見たことがありませんでした。
私達姉妹がいくら言っても、つけてくれなかったのですが、
ケアマネージャーさんに、
「一人で外出するとき、補聴器をつけないと危険ですよ」
と諭され、その気になったようです。
お店に予約を入れ、2人で行きました。
お店の履歴を調べて頂くと、7年前に購入したきりで、
定期検査もメンテナンスも一度も行ってないようです。
丁度父が亡くなった時期と重なりますから、
一人暮らしになって、TVのボリュームを上げても誰に怒られることもなく、
取り立てて不便も感じず、そのままにしてしまったようです。
担当の男性は、お仕事柄高齢者のお相手は慣れていらっしゃるのでしょう、
ゆっくりと、言葉明瞭に、決して意見を押し付けず、
あくまでも母がどうしたいのかを、根気よく聴いて下さいました。
その上での彼の説明は素晴らしかったです。
「脳は耳からの情報が少なくなると次第に衰えていきます。
それがやがて認知症に繋がっていきます。
その予防のためにも、補聴器は必要です。
補聴器をつけずに聞こえないままにしておくと、
もう失っていく聴力は取り戻せません。
補聴器で、聴力は良くはなりませんが、今持っている力は引き出せます。
つけた未来。つけなかった未来を想像してください」
「いままで聞こえていなかったのですから、補聴器をつけると
周りの色々な音まで聞こえてきます。脳がそれを理解するまでは、
人それぞれですが、それなりの覚悟はいります。
でも、〇〇さんが健康にまだまだ一人暮らしを頑張りたいと思われるなら、
お嬢さんも僕たちも応援します。つけた未来を選びませんか。
どうでしょうか。どうぞ納得のいくまで質問して下さい」
母に後で説明をしないといけないので、メモを取っていた私は、
彼の言葉に感激しました。
92歳の母の未来を応援すると言って下さるのですから。
母は自信なさげでしたが、
彼の言葉で「やらなければ」と自分に言い聞かせているようでした。
母の聴力検査を丁寧に1時間ほどかけてして下さり、
母の持ってきた7年前の補聴器も念入りに調べて下さいました。
私もお店の方も、最近の物に買い替えてはどうかと提案しましたが、
高価なものですし、母はやはり今のままのでと言います。
使うのは母ですから、私は仕方がないかなぁと思いました。
彼も「では、今の〇〇さんの聴力に合わせますので2週間試してください。
何か不都合があれば、ほかの選択肢を考えましょう」と言って下さいました。
結局、2時間お店に滞在して、家に帰りました。
そして母に、どうか2週間はちゃんと練習してくれるように頼んで、
私は帰りました。
その時はTVボリュームの数字が半分ぐらいでも聞こえていることに
喜んでいた母ですが、
☼明日の朝、今の気持ちを忘れずにいてくれるかは大変不安です。